Cessna152 Preflight Check

飛行前点検の重要性について

不屈の機体がここにある

パイロットたるもの、飛ぶ前には必ず機体のチェック(preflight check)を行わなければいけない。

翼の中に燃料は十分に入っているか?オイルは足りているか?操作系はスムーズに動くか?タイヤに空気は入っているか? 窓はきれいに拭いてあるか?エンジンカウルの中に鳥が巣をつくってないか? etc.

一度空にあがってしまったら、全て機長責任なのだ。もう誰のせいにも出来ない。

そこで今日も安全なフライトのため飛行前点検である。うむ。いつもと全く変らないように見える。

プロペラまわりもいい感じだ。カウルの側面にはオイルで描かれたオリジナルな縞模様も残っている。 これはこの機体のチャームポイントなので、消してはいけない伝統なのだ。

実はそれには深い理由がある。。。
エンジンオイルの主な役割は「潤滑、冷却、清掃、密閉」なのだが、 誰もがエンジン内部だけそうなっていれば良いと思っている。

そんなに良いことならば、エンジン外部にまで適用範囲を広げればよいではないか!
。。。と、あるとき気が付いた訓練校があった。そこでエンジンを整備するときに、微妙にオイルがしたたるよう、 少し手抜きをするようになったのである。逆転の発想である。

もちろん、エンジン内部だけでなく外側にまでオイルを供給しているので、通常の機体よりもオイルの消費量は断然多い。 そのために毎日のようにオイルをガンガン補給するのが訓練生たちの日課である。 減ったら足す。減ったら足す。減ったら足す。

誰だオイル漏れてるんじゃねぇのとか言ってる奴は!!!
失敬な。これでもちゃんと飛ぶんだぞ。

撮影日時:2006年12月2日

クリアー・プロップ宣言

常に安全こそが最優先

フライトはあらゆるシーンで常に危険が伴うので、パイロットも安全のためにしかるべきウェアを着用すべきである。

といっても大げさに考える必要はなく、基本はバイクに乗るのと大して変らない。
寒さから身を守るための防寒服、くるぶしまで覆う丈夫な靴、そして両手を守るグローブ。 また、ヘルメットを着用するのはセスナ機でも戦闘機でも同じである。

コックピットに入ったら次の手順でエンジン始動前チェックにはいる:
@飛行前点検済み Aシート位置の調整 Bハーネスとベルトをしめる C燃料バルブ--ON  D無線関係--OFF Eサーキットブレーカ--Check IN Fブレーキをかける

エンジン始動までの手順は次の通り:
@機体ビーコン--ON Aミクスチャー--Rich Bキャブヒート--OFF Cプライマー(必要に応じ)  Dマスタースイッチ--ON Eクリアー・プロップ宣言

映像を見る限りでは一見だいぶ手順をはしょってるように見えるが、ベテランのダメ訓練生ともなると 目にもとまらぬ速さで全てのプロシージャを完了する事ができるのである。

ちなみにクリアー・プロップ宣言(Clear Prop)というのは、プロペラを回す前に 周辺に誰もいない事を徹底するための安全確認である。 従ってイグニションに手をかける前に、外に聞こえるよう大きな声で言わなければならない。 皆も見習うように。

撮影日時:2006年12月5日

※部分的に大ウソが混ざってますが気にしないで下さい。

(おまけ)エンジン始動とその後:
Fブレーキ踏んだままイグニションを回しエンジン始動 Gスロットルを1000RPMに合わせる  Hオイルの油圧チェック Iフラップ--UP J無線関係--ON (ATIS/AWOSで気象情報→GND/CTAF周波数)  Kトランスポンダー--STANDBY Lブレーキ再チェック M無線にてタキシング開始宣言
その後もテイクオフ前のランナップ(マグチェック等)の手順もあって飛ぶ前は結構忙しいのだ。


C152のタキシング

Cessna152のような単発レシプロ機がプロペラの力で空を飛ぶことはご存知のとおりである。

では地上にいるときはどのようにタキシングしているかというと、やはりプロペラの力で前に進む仕組みなのだ。

頼りなさげなちっこいプロペラだが、これでも僅か1000RPM程度で余裕で前に進めてしまうほどのパワーを持っている。 実はプロペラがおくり出す風はとんでもなく凶暴で、エンジンが回っている最中に機体のそばに立つと大変だ。

ただし当然のことながら操縦桿はほとんど効かない。操舵面が有効になるほどの空気の流れがないためである。

従ってタキシング中は主に左右ブレーキとラダーでコントロールを行っている。 ペダルとスロットルだけで操作するので慣れないうちはフラフラするが、何回も飛んでるうちにタキシングも慣れてくるものらしい。

クルマに比べて図体がでかいように見えるが、地上では片側ブレーキを使うことによって メインギアを中心にくるりと左右ターンできる。意外とこまわりがきくのである。

一度、ベテラン指導教官R氏が見ている目の前で思いっきり脱輪して草地をタキシングしてしまった事があった。 (ちょうど動画に写ってるあたりの場所で)
R先生のこっちを見る目が逆三角形になっていたが、何事もなかったかのように笑顔でかわすのも訓練生の技術である。