Cessna152 Steep Turn
45度バンクのスティープターン(C152)
自家用ライセンスでは必須スティープターン(Steep Turn)というのは45度以上のバンク角でもって高度を落とさずに 旋回するというマニューバーである。
Private Pilotライセンスの訓練では必ず45〜50度バンクのやつをやらされる。 C152の場合、スティープターン開始時はエンジン回転数を2400RPMまで足し、対気速度は85kts以上である事を確認。
翼を45度に傾けたまま、左360ターンを一回、右360ターンを一回。 旋回中に高度を一定に保たねばならないのはもちろんのこと、 左ターンから右ターンに入る時も、開始ヘディングと同じ針路にビシっと合ってなければならない。
これがなかなか合わせられない訓練生は大変なのだが、 ファルコンヘッド機長に言わせると「こんなの簡単すぎてやってらんねーよ。」
。。。というわけで、これは機長によるパーフェクトなスティープターンの映像である。
開始ヘディングを180度方位に決めたのち、一瞬でバンバンとトリムを合わせて、45度バンクの左旋回開始。 高度もビタっと一定で1フィートたりとも落とさない。すごい!一体どうやってコントロールしてるのか!
。。。と思ってふと機長を見ると、操縦桿から完全に手離し状態で、 窓に寄っかかって昼寝をしているではないか! (良い子はマネをしないで下さい)
それでも飛行機は45度バンクのまま、1ftたりとも高度を変えずに
スィーと旋回してゆくのだった。。。
これはライダーがバイクの上に寝そべって昼寝しながら正確に峠をコーナリングしているようなもんである。
↑↑死ぬって。
ちなみに45度バンクだと機体にかかる荷重(Load Factor)は1.2G程度。
これは後で出てくるので覚えておこう。
撮影日時:2006年12月9日
60度バンクのスティープターン(C152)
ふつうここまではやらないさて、飛行機が旋回するときは大体15〜30度バンクが普通である。
45度以上のバンクで旋回すると翼にかかる荷重は急激に大きくなり、揚力も減るので失速に入りやすくなるのだ。
そんなわけで、60度バンクのスティープターンなるものは普通やらない。
が、ファルコンヘッド機長は。
「よーし、じゃ今から60度バンクでやるから見てろ」
。。。との仰せで撮影したのがコレ。こんなの初めてみたけどスゴかった。
露出の関係で計器類を撮影できなかったのが惜しいが、バンク角(Attitude)も開始方位(Heading)も高度(Altitude)も ビッタ〜〜〜!!!と一定の完璧なスティープターンだったのだ。
「60度バンクでターンしてるから、今俺らの体重は2倍って事だな。」
うひー。えらいこっちゃ。
そう、45度バンクの時はたった1.2Gだった荷重(Load Factor)が、60度バンクになると2.0Gにまで跳ね上がるのである。
そして失速スピードも大幅に増すため、通常よりはるかに失速に入りやすくなる。
C152のPOHを見ると、通常の失速スピードはフラップ無しで36kts。これが45度バンクの旋回中だと43ktsで失速に入る。
60度バンクの旋回中だと、なんと51ktsでも失速に入ってしまうのでスタート時の対気速度をナメてはいけない。
また、45度バンクの時は左右ターンを終えるのに1分以上かかっているが、60度バンクの時は僅か45秒。 これはバンク角が深いぶん旋回半径が小さくなっている証拠である。
。。。いろんな意味で貴重な映像なので心してみるように。
撮影日時:2006年12月9日